キャリアアップシステムへの登録って重要?メリットとデメリットとは?

DATE:2021/12/21
LAST UPDATE:2022/01/04


こんにちは!
株式会社ENISHIのコラム担当、西です。

今回は建築キャリアアップシステムについてのお話です。
皆さん、すでにお持ちの方も多いと思いますが、去年あたりからこのキャリアアップシステムの登録を入場時に求められることが増えましたね。

キャリアアップシステムの詳細は後で詳しく説明しますが、簡単に説明すると「誰がどこの現場でどれだけ働いたか」「その人がどんな資格やスキルを持つのか」「仕事上での身元証明」の意味をもつカードとそのシステムの事です。

今後はおそらくこのシステムへの登録が現場に入るための必須条件になっていきますが、現状ではまだ普及率が低い地域も多いそうです。

なぜ、このシステムは必要なのかあまりご存じない方も多いかと思いますので、今回は、登録者側へのメリットがあるのかも交えてお話しさせていただきます。

【メリット1】履歴書の様な役割をはたし、将来的に入場書類の作成などで手間がなくなる。

現場仕事では知り合いからの紹介なども多いためか、日雇いなどではない正規雇用であっても必要書類の締結や身元証明のための履歴書提出が行われていないことも多々あります。

社員の事情を詳しく知っているような業者間ではそれでもいいのですが、どんなに口で「信用が出来る社員です」とうったえても、大手ゼネコンなど完全な外部の会社からすれば「素性がはっきりしていない人を雇う」訳にはいきません。

そのため、現在は現場ごとの新規入場のたびに身元確認の書類を提出して、書類に問題が無ければ正式にその現場で働くことができます。
この書類提出が実はとてもやっかいなのです。

・作業員名簿、施工体制台帳の作成業務

・建設業退職金共済の手続き

・技能者の社会保険加入状況の確認

といったような手続きや書類作成が毎回、応援・正社員なども関係なく、すべての社員ごとの情報が必要となります。

事務員がいない小さな会社では社長がこの書類を作成するのにかなり時間を取られるそうです。

それを解消できるのが建築キャリアアップシステム。
登録できる内容はかなり色々とありますが主な内容としては、【入場した現場】や、【社員の持つ資格】、【履歴書代わりになる内容】【保険などの加入状況】などです。

現在はカード一枚あれば…という訳にはいきませんが、恐らく将来的に資格証の統一なども視野には入っていそうな内容ですね。

現在はシステムとの切り替えタイミングなので、書類提出の手間を省くことは難しくありますが、将来的にゼネコン側はこの建築キャリアアップシステムのカードさえあればすぐに入場できるといった状況を目指しているようです。

でも「現状は結局書類を提出するから手間が増えるだけでなんのメリットも無い」…といった意見も聞きますが、実はそんな事はありません。

【メリット2】国や自治体の登録助成が受けれたり、加点対象になる。

国からだけではなく、各自治体から登録費用などの助成をはじめ、登録企業は総合評価落札方式や成績評定での加点対象になることもあります。

そのため、現在は”登録費用を助成してもらえ”なおかつ”評価の加点対象になる”といったメリットがある地域も多いわけです。

裏を返せば、今後、登録が増えて取得が当たり前になってくると、契約をとる上で不利な立場になる可能性もあるということですね…。

仕事を取る上でも、メリットは他にもあります。

【メリット3】雇っている技術者の能力を”見える化”できる

私自身、この業界にきてからあまりしっくり来ていないのが「社員個人の能力査定の正確性」についてです。
不満があるという訳ではなく、どうしても今まで評価基準が社長や親方、上司の個人的な裁量で行われる傾向が強かったため、外部からは社員個人の能力値が分かりにくい状況にありました。

恐らく、仕事の請負先を探している方ならばわかると思いますが、いくら口で「うちの社員は能力が高いんですよ!」っと言われても外部の人間はそれがどの程度信用できるものなのかって判断しにくいので、「選考基準」にはしないですよね。

なので、紹介ならばそれでも仕事を取れるかもしれませんが、新規の顧客に売り込む際に”あいみつ”をとられていたりしていると、社員のレベル感などが不明瞭である事が原因で仕事が取れないなんてこともあり得るでしょう。
そんな時に、外部にも明確に評価基準を示せるのが建築キャリアアップシステム。

カードのランクで、技術者の能力値を示すことができます。

技能者のカードはランク分けされており、4段階のレベルに応じて色分けされています。
トップがゴールドカード。

これは下記の内容を考慮の上、決められるそうです。

・就業日数・就労実績
・知識・技能・保有資格
・マネジメント能力

そのため、カードを早くから保有し、就業日数などを蓄積することも重要です。

そして、会社はゴールドやシルバーのカードを保有する社員が増えることで、社内状況が把握できない外部にも「優秀な人材が揃っていること」をアピールできるのです。

また、すでに一部の機能が導入されているようですが、今後はおそらくカードのランクなどで優遇される場面も増えてくるでしょう。
そうなると、ランクの高いカードを保有した社員が多い会社自体も、何かしらの優遇がある可能性が高くなります。

すでにベテランの方なども多いため、経験年数の登録についてはある程度考慮される可能性が考えられますが、評価基準に就業日数がある以上、誰もが早めにカードを所有しておくことが重要であることは明白です。

現状はあまりメリットが無い、二度手間である…といった意見も多いキャリアアップシステムですが、今後は「持っておいた方が良い」から「持っていることが最低条件」といった方向に切り替わってくるだろうとも言われています。

この業界では安全上、書類申請や資格などはかなり厳しい現場も多いため、「カードを所持していない事が理由で現場に入れない」といった事にならないように、早めに申請して取得してしまいましょう!

ENISHI|電気工事業|大阪・松原市

著者:株式会社ENISHI