建築業界はコロナ禍でも業績安定の高収入!人材不足で売り手市場の建築業界について解説。

DATE:2021/09/27
LAST UPDATE:2021/09/28

こんにちは!
株式会社ENISHIのコラム担当、西です。

先日、あるニュースで建築業界の人材不足解消の工夫について取り上げられているのを目にしました。
このコロナ禍で、世間はでは失業者も増えており就職が難しいという話を耳にしますが、それでも建築業界は人材不足が改善されません。

やはり、建築業界の「キツイ・汚い・危険」のイメージに加え、仕事内容の馴染みの無さなどがネックとなり、就職希望者が増えないことが問題のようです。

今回は、そんな中イメージアップに取り組む業界の取り組みをご紹介。
更に、過去にオフィス仕事もしていた私の目線から、「結局のところ、建築業界って就職先として魅力的なの?」という疑問にお答えします。

3Kはキツイ・汚い・危険から休暇・給料・希望に?

ニュースにて話題となっていたのは、福井県建設産業が公開したユーチューブの動画。(下記リンク先参照)

【若者に新3Kアピール】ユーチューブで魅力発信 福井県と福井建協

「休暇」「給料」「希望」という「3K」をキーワードに、「有給が取れる職場環境」「高収入」「安定した業績」など今の建築業界についてアピールした動画でした。
今回話題となった動画では「他業種よりも給料がいい」といったイメージで女性スタッフが出てきたり、ほかの仕事よりも「有休がとりやすい」といった内容で採用について触れています。

ですが、過去の現場での「3K」といえば「キツイ」「汚い」「危険」でした。
実際に女性やほかの職業から転職するひとにとって魅力的な環境なのでしょうか?

他の仕事では難しい?「休暇」「給料」「希望」って?

まずは建築業界が売りにしている「休暇」「給料」「希望」について、建築業界ではどういう状態なのか見ていきましょう。

・・・・・・・・・・「休暇」・・・・・・・・・


これについは私が調べる限り【会社と立場による】印象です。
というのも、建築という大きなくくりで言うと、日給で働いている方も多いためかあまり休みを取る方がいません。
ただ、内装工事の仕事をしていた時は、半年休んで半年仕事する…みたいな働き方をする方もいました。

休みがとりやすい理由として考えられる部分はいくつかあります。

【大手ゼネコンや組合につていは、そもそも労基が厳しいので取れる環境がある。】
これは規定上、取らせるしかないのでそう言った環境がある会社が多いのかもしれません。

【建築の特性上、一つの現場が終わってしまえば仕事に区切りがつく。】
そして、次の仕事を取るかは社長次第。
建物が経ってしまえば、修繕が完了したらその現場の仕事というのは終了します。
そして、小さな会社であれば、そのあとの仕事や人員配置をどうするかは社長次第です。
このタイミングで有休消化をする…というのもあり得るかもしれません。

【ほかの会社から人を連れてくる応援があるので、正社員の人数が足りないときにも人を入れることができる。】
これは、ほかの職種と大きく異なる部分です。
他の職種では、多くの仕事が属人化されていたりコンプライアンスの都合上、「その職場に来たことが無い人を一日だけ派遣してもらう」という訳にはいきません。
しかし、現場仕事は【現場が変わるだけ】で仕事は変わりません。

例えば、私は電気工事士なのでコンセントをつける仕事を頼まれたとします。
現場がいくら変わっても《コンセントの種類》や《コンセントをつける場所》が変わったとしても《コンセントをつけるための知識》が変わることはありません。
また、応援さんが任されるのは作業だけなのでコンプライアンスに触れるような情報などを渡すことはほぼあり得ません。

なので、急に人手が足りなくなっても極端な話、《同じ作業ができる電気工事士》であれば誰でもいいのです。
そういった意味では、ほかの職種よりは会社としても有休を取らせやすいかもしれません。

・・・・・・・・・・「給料」・・・・・・・・・

最初に触れた福井県建設産業の動画内では、女性スタッフが沢山の贅沢品を買って給料の良さをアピールするシーンがありますが、建築業界って女性に対してそんなに羽振りがいいのでしょうか。

実際のところ、給料については建築業であっても男女ともにスタートは他の業種と同じぐらいです。
但し、ある程度年数が経ったり、スキルアップや簡単に取れる資格取得で確実に給料が上がることを考えると、男女ともに他業種よりも確実に高額になりやすいと思います。

前回、女性スタッフが多数在籍する弊社でも別の記事で、女性でも働きやすい環境なのかについてお話しています。
電気工事士の仕事内容って?女性でもできる?電気屋について説明!

そもそも、今の一般職業は給料を上げようと思ったら成果報酬に近しい部分があります。
昔は男性は年数さえ経てばある程度は給料が上がる…なんて言われていましたが、そういった会社は今は多くはありません。
そのため、30代男性でも年収400万以下の方が42%以上を占めています。

大学新卒や中途採用エンジニアでも初任給20万以下スタートといった話もよく聞きました。
最近ではデータ分析などを伴う専門性の高い仕事内容も増え、給料アップのハードル自体も上がっている印象です。
また、厚生労働省のデータによると高校卒業の初任給は男女ともに約16万といった話もあります。
特に女性は、25歳くらいから給料が上がりにくい傾向にあり、30代のころには平均年収は男性よりも100万円近く低くなってしまいます。

出世による昇給以外にも、資格取得のようにわかりやすい給料アップの目安があるため、「結婚出産の可能性があるから出世できず、給料が全く上がらない。」といった女性特有の悩みも他の職種よりは少ない印象です。

ちなみに、電気工事士の給料については、以下の記事で詳しく説明しています。

電気工事士のお給料はずばりいくら?ほかの職人とのお給料や仕事内容の違いとは?

本人のやる気と努力次第とはいえ、男女ともに変わらない昇給目安があるのは、全員にとってメリットですね。

・・・・・・・・・・「希望」・・・・・・・・・


そもそも、建築業界の職人層に至っては、高齢化や女性進出が進まないことが大きなネックとなり慢性的に人手不足の状態です。
そのため、人手不足倒産は多い職種でもあります。
逆に言えば、仕事が無い…ということはほぼないので、会社ごとの経営状態はいろいろな事情があるとはいえ、業界全体では絶えず仕事がある状態です。

また、仕事柄、信頼関係や資格取得者在籍数などが深く関係してくるため昔からある会社は潰れにくい傾向にあります。

更に、そう言った業種では通常は「新規参入」のハードルは高くなりますが、建築は少し事情が違います。

かなりざっくりですが、建築現場のお仕事を貰う主流の形は下記のようになっています。


【大手ゼネコンが中小規模の会社に】➡【中規模小規模の会社が個人事業主などに】➡【小規模の会社から応援で個人事業主や横のつながりの会社に】

上記のように応援という派遣社員の様な制度があり、応援を受ける事をメインとしている個人事業主なども多いです。
そのため【小規模】または【個人事業主】としての参入は他業種と比べると希望があるかもしれません。

退職先と良好な関係であれば、独立した社員が1人~3人くらいの規模の個人事業主となり、元の職場から応援として呼ばれて仕事をする…といったこともあります。
そういう意味では、会社を立ち上げるのも新規参入までの道のりも、維持も難しい他業種よりはしやすい傾向にあります。

【安定した業績】のなかで【独り立ちの夢も持てる】ということは、確かに希望のある職種だと思います。

実はオフィス業務や販売業務、サービス業などもとてもハードな環境。

とはいえ、最初に話していたように、建築業界と言えば「キツイ」「汚い」「危険」のイメージが強く残ります。
私自身、電気工事士になるまではオフィスで働いていたので、職人さんたちからも「オフィス業務とかのITエンジニアの方が楽だし儲かるのでは…?」ということはよく言われます。

恐らく、キラキラのノマドワーカーの様なものをイメージしているのだろうな…と感じますが、実際のオフィス仕事は意外とハード。

連勤や長時間労働もざらで、10時間以上ほぼ座りっぱなしでパソコンと睨めっこ。
私の会社はちゃんと残業代が出るだけまともでしたが、仕事量が多いため終電帰宅の始発出発やシステムトラブルなどで寝泊りも頻繁にあり、体調を崩して退職する社員も多くいました。

同じような環境で同じ仕事量でも手取りが15万円を下回る…なんて会社も多い職種です。
ですが、給料のわりに多くの仕事では「毎日、専門知識のアップデートが必要」な仕事を任されることも多く、休日ですら勉強の日々。


休めば休むだけ会社から取り残されるため、実際のところ、本当に休める日というのはありませんでした。

また、仕事量に対して人数がギリギリのところも多く、正社員にもなるとほとんど休みが取れないのも悩みです。
自身も約10年間の間で有休を使って2日以上の連休をとったのは規定上取らなければいけないと決まっている数回程度。
ほとんどの有休は辞めるときに消化しました。


環境もハード、拘束時間も長い、給料も安い、休みもとれない…。
更にこのコロナ禍で急に経営が怪しくなった会社も多くあります。

人の動きが止まり、出かける機会も減ったため旅行業界や飲食業界はもとより、「化粧品」や「アパレル」の業界なども大きな影響を受けました。
また、コロナ初期には巣ごもり需要が騒がれたEC事業についても、2020年度は全体ではまさかの赤字。

そんな中、一部ではコロナ禍の影響を受けつつも業界全体として強かったのが建築業界。


コロナ禍では、存続自体が危うくなってしまった業種もありますが【建物を建てる】という事はどんな状況下でもあるので、仕事がなくなるといったことはありませんでした。

そういう意味では、経営の不安定なベンチャー企業が乱立するITや、サービスや趣向品を売るといった経済の影響を大きく受ける職種よりも安定していたと言えるでしょう。

確かに、どちらも経験した私としても「休暇」「給料」「希望」についてはどの職種よりも安定していると思います。

もちろん、力仕事があったりとほかの業種よりハードな仕事もありますが、昔と比べると労働環境についてもかなり改善されてきています。
オフィスほどの快適さは無いとは言え、弊社には女性スタッフもいますし、皆さんが想像しているような劣悪な環境ではないと思います。

今後、家庭の安定や収入の安定を目指す人にとっても建築業界は魅力的な業種へと成長していきそうですね!

ENISHI|電気工事業|大阪・松原市

著者:株式会社ENISHI